根本 知 Nemoto Satoshi オフィシャルサイト - 書家 / ねもとさとし

「flow」銀座三越2025個展

「flow」銀座三越2025個展

自然の流転をイメージし、自詠の和歌を抽象的に配していく作品シリーズ「flow」。

NYをはじめ、各地で発表してきた経験を踏まえ、今回新たに胡粉を使用した「白い仮名文字」へとブラッシュアップしました。

それが2025年5月、銀座三越ギャラリーでの展示へとつながります。

日本では古来より、心のかたちを紐状と捉えられていたことに着目し、仮名文字のつながりを心象風景として表現する。

「雨糸に織られて咲いた花のいろ 染まる心をつむぐ言の葉」自詠歌

心は紐だからこそ、乱れ、ほつれて、また結ばれます。さまざま織り重なる心を筆にのせ、言の葉をつむいでいったのが平安貴族でしたが、その心を多く染めたのは花のいろではなかったでしょうか。そして、それらの花々は、雨の糸によって刺繍のように織られて咲いたのだと私は想像し、歌を詠みました。

その和歌を何度も何度も仮名遣いを変えながら繰り返し書いていきます。古くは源氏物語絵巻「御法」の場面に、文字を重ねながら、やや読みづらく書く表現が見られますが、そんな故実も踏まえつつ、現代に昇華した作品を目指して制作したのが今回のシリーズです。

「読む」仮名から「感じる」仮名へ。

多種多様な心のかたちに触れてもらえたら幸いです。